日々帳

140字で足りないつぶやき忘備録。

2016年 映画の感想まとめ

2016年はたくさん映画を見に行きました。去年はハリウッド映画が多かったけど、今年はドキュメンタリー映画ばかり見て、どちらかと言うとドキュメンタリー好きなんだなと認識しました。

ドキュメンタリー作品はだいたい感想を書いているので、フィクションものの2016年公開映画、見たものまとめです。

ランキング順ではないですが、なんとなく好きなものが上にくるようにしてます。アマゾンリンクでなく一枚画像にしている作品は、DVDがまだでてないとか、そういう作品です。

邦画 編

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この世界の片隅に 絵を描くことの好きな少女すずは、故郷から離れた呉へ嫁ぐことになる。戦争で物資の少なくなる中、不器用ながら工夫をし、生活を楽しもうとするすず。自分そのものであった"故郷"や、初恋、”絵筆をもつこと”との決別、人生の底に流れる不条理や哀しみをたしかにとらえながら、笑いを交えてほのぼのとした日常として描く。女性の半生を描いた物語として、シンプルなのにとても深い。さらに彼女が生きる時代の風景を再現した緻密さ。主観的にも俯瞰的にも丁寧で、何回でも見たいと思わせる作品です。

シン・ゴジラ 今、私たちの住んでいる日本に大怪獣が現れたら? とシミュレーションするような前半と、はたらく乗り物大活躍の勢いある後半。邦画の文脈を多く引きながら出来上がっていることや、日本にある核へのトラウマから目を逸らすことなく描いていること。その上で、今年いちばんのエンターテイメント作品でもあり、振り返ってみても、やっぱりすごい映画でした。

ちはやふる(上の句・下の句) アニメでは新の"天才ゆえの孤独"感がよかったけれど、映画ではライバルにあたる太一の心理描写を大きく割いて、主人公、太一なんじゃないっていうストーリーになっていましたが、そこがまた良かった。努力しても天才にはなれないけれど、凡人ならではの葛藤や、だからこそ持てる他人への共感や言葉の説得力がある。すごく誠実な物語だなと思って、個人的にヒットの作品。

君の名は。 心と体が入れ替わってしまう二人、事象が途絶えてしまったあと、瀧は入れ借りの相手である三葉を探そうとする。遠距離恋愛ばかり描いてきた新海監督、ついに出会っていない相手との遠距離恋愛を描いてしまった。でもその「出会いたいのに出会えない」構図はやっぱり上手いなあと思ったのでした。大ヒットを受けて名画座で上映していた「秒速5センチメートル」は、二回目の鑑賞でしたが、映画館で見るとやっぱり印象違いますね。めちゃくちゃ良かったです。

海よりもまだ深く 縦糸はいびつでもそこにある家族の絆、横糸は団地という郊外の都市空間。家族あるあるでユーモラスに引っ張って行きつつ、高度成長期から緊縮への過渡期である今の時代をしっかり描いてもいます。単純にも楽しめるし、レイヤーをめくっていくとその下の層も丁寧に描いていて、さすがという感じです。

怒り ある猟奇殺人事件の犯人が逃亡しているところから物語が始まり、社会からはぐれた三人の青年それぞれに出会う人たちを描いていく。三人のうち誰かが犯人のようなのだけど…彼らに接する人たちの疑いはそのまま私たちの心にすみつく疑いになる。この物語のベースになった事件を私もよく覚えているので、いろいろと考えさせられつつ見ました。

外国語作品 編

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© Ciudad Lunar Producciones
彷徨える河 1909年と1940年それぞれにアマゾンへ足を踏み入れた、二人の白人探検家の日誌をもとに制作されたコロンビア映画先住民族のシャーマン、カラマカテは瀕死の白人探検家テオと助手のマンドゥカに請われて、聖なる植物ヤクルナを求める旅にでる。カメラは先住民が暮らしてきた世界と白人の切り拓いた世界のはざまを行き来する。俗世界を離れて生きるカラマカテは哲学者のようでもあり、若い頃には白人の行いと彼らの価値観に準じていく同胞たちに動揺させられたりもする。酷な場面もあるけれど、モノクロの画面は美しく、神々との交信を暗示するいくつかのシーンは幻想的。若いカラマカテの惑いも美しく、今年見た外国語作品の中ではいちばん好きかも。

ディーパンの戦い フランスの郊外の団地を舞台に、偽装結婚で故郷を逃れてきたスリランカ移民の家族が生き直そうとする話。スリランカ事情を描くかと見えて、フランスの郊外事情の方が主題という感じ。寡黙で堅物の主人公が、スリランカ内戦で名を轟かせた戦士だったことを示唆する場面がちょろちょろ出てくるけど、異郷に鬱屈として生きる中年男が終盤で開眼する場面など、これぞカタルシス。郊外の寂しく殺伐とした空気をとらえた映像もよかった。満足の一本でした。

サウルの息子 [DVD]

サウルの息子 [DVD]

  • ルーリグ・ゲーザ
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サウルの息子 アウシュビッツ刑務所でユダヤ人を処分するユダヤ人部隊ゾンダーコマンドの男のある一日を描く。主人公の顔をカメラの中心に、ぼやけた背景が状況を物語る。アウシュビッツで起きた出来事が、画面端のぼんやりした風景として淡々と描かれる凄まじさ。視界の晴れない画面は、主人公の世界の見え方と重ねている。その画面の演出も含めて、印象に強烈に残った作品。ラストのサウルの穏やかな微笑みが忘れられない。

オマールの壁 パレスチナ自治区に生きる青年を主人公に、友人たちと、恋人の女性との青春を描く。イスラエル占領下への怒りもあるのだと思うけれど、映画のつくりはすごく冷静、というか計算されている感じ。イスラエル秘密警察との駆け引き、欺きを物語の展開軸にしながらも、描いているのは若者たちの恋や友情。見応えある作品でした。

光りの墓 [DVD]

光りの墓 [DVD]

  • ジェンジラー・ポンパット・ワイドナー
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光りの墓 眠り病にかかった兵士の介抱にあたる女性と、兵士の青年の心の交流を描く。昼と夜、過去と未来、有機的なものと無機質なもの…相対するイメージが、物語の進行とともに乖離していく。物語予告で「これは好きな感じ」とピンと来て見に行って、がっつり心を掴まれたアピチャッポン監督の2016年の新作。旧作の「世紀の光」も大変良かった。西欧文脈とは異なる、まったく新しい物語のかたち。

ロブスター パートナーがいないと動物にさせられてしまう世界。ホテルに移送され、45日間で相手を探さないといけなくなるデヴィッドは、努力もむなしく追い詰められ、逃げ込んだ森で独身者たちの反体制勢力に合流する。しかしそこでは恋愛厳禁のルールが支配していた。馬鹿げたSFかと思っていれば、お見合いコンパや無音盆踊り、抜け忍許すまじの執念と、われわれの社会にも思い当たることが多々あり、全然他人事じゃない。女の友情、男女の愛の誓いの儚さなど、劇場内は自虐な笑いの連続。帰りに駅構内のカップルを見る目も変わってしまう危険な作品でした。

マジカル・ガール [DVD]

マジカル・ガール [DVD]

  • ホセ・サクリスタン
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マジカルガール 白血病の少女アリシアはアニメ「魔法少女ユキコ」に憧れている。余命いくばくかの娘の願いを叶えてやりたい父ルイスは、一点ものの魔法少女のドレスを手に入れようとするのだが。彼の目の前に現れる女性バルバラも、ルイスも、愛のための行いなのだけど、物語はだんだん破滅へと舵を切っていき…魔法少女は”破滅へ導く運命の女"の隠喩かな。コミカルな展開と青みを残した色づくりの画面でポップな印象がありますが、かなり毒のあるスペイン映画でした。

消えた声が、その名を呼ぶ 1915年オスマントルコによるアルメニア人虐殺を発端に、家族と生き別れた男性が妻と娘達を探す旅にでる。ひとりのアルメニア人男性の旅を通じて、さまざまな土地で出会う差別や、あるいは無償の手助けなどを描いています。家族を思う心やその願いの強さ、それこそが離散の民となった彼らの彼らたらんとするものなのかも。20世紀初頭のトルコからアラビア半島キューバアメリカ…と、出会う人々の生活事情なども個人的には見どころでした。壮大な旅路のあとに待ち受けるラストの映像もまた美しい。涙なしには見れないとはまさにこのこと。

禁じられた歌声 イスラム過激派に占領されたマリ共和国の古都ティンブクトゥ。過激派メンバーたちは彼らに歌を禁止し、女性が素肌を出すことを禁じ、決まりを守らなかった者には罰則を与えた。その環境で見せる彼らの静かな抵抗。音楽がとても良くてアルバムまで買ってしまった。

火の山のマリア マヤ人の少女、マリアはコーヒー農園の主任との縁談がまとまるが、少女の想い人は農園で働く青年ぺぺ。渡米を夢見る彼に将来を託して身を委ねるも、ぺぺは一人故郷を後にし、村に残されたマリアには妊娠が発覚する。底辺層に閉じ込められた出口の見えない人生。エミール・クストリッツァ「ジプシーのとき」に似てかな。赤ちゃんを巡る母と娘の絆の描写がとても印象的でした。

バーバリアンズ セルビアの若きまなざし 仮釈放中で無職の青年ルカ、地元のサッカーチームを応援することが楽しみのひとつだが、実家はコソボ紛争で行方不明だった父が生きていたことから、経済支援を打ち切られそうに。その事実を隠していた母に不審を抱いたルカは、友人と参加したコソボ独立反対デモに乗り切れず、ベオグラードで父親を探そうとする。長らく紛争で不安定な状況が続くセルビアを舞台に、ひとりの青年の鬱屈した青春を描く。セルビアの歴史背景をあまり知らなかったことを思い知らされた作品。

ハリウッド映画 ほか 編

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© Lucasfilm 2016
ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー 予告に不安しかなかったけれど、「SWシリーズの中でも屈指の名作」などの声も聞いて、ホッとしたりしました。眠たい前半から巻き返す後半。惑星スカリフを決戦地にしたクライマックス。七人のならず者(ローグ・ワン)が身を挺して戦うさまは「七人の侍」をベースにしているのでは、との指摘はすでにされていますが、二つの作品に共通する醍醐味は、なんといっても地形を頭に入れた上での攻防戦。満点はあげれなくても、後半で満点を超える出来で、差し引き満点みたいな作品でした。

ヘイトフルエイト 大森キネカでジャンゴとの二本立てという良チョイスで見ました。ズートピアポリティカリー・コレクトについて描いたって言われていたけど、こっちはヘイトについて描いた世界。ジャンゴでは希望が描かれたのに、ヘイトフルエイトでは失望を描いているのは、サミュエル・L・ジャクソンの急所の扱われ方を見れば一目瞭然なのである。

ボーダーライン メキシコの麻薬カルテルを追う捜査班。作戦チームに抜擢されたケイトだが、じょじょに自分が利用されていると気づいてきてーーこういうピリッとした描写で、でも描いているのは素朴な絆っていうバランスはとても好き。対立しながらも、ケイトとアレハンドロの惹かれ合い(父と娘のような)はとても良かった。

エクス・マキナ IT企業に勤めるプログラマーのケイレブは、山岳奥深くにある社長ネイサンの別荘へ招かれ、極秘で開発中の人工知能へのチューリングテストを依頼される。人工知能エヴァとの会話を続けるある日、研究室が停電し、予備電源で復帰した彼女が言う。「彼を信用してはダメ」ーー映像がびっくりするくらい美しくて、AIのエヴァのネイサンに対して秘密を持ちたがる様子を見せるなど、ほのかに育つ自我の表現が秀逸。ラストに描かれる警告も、予想外で素晴らしい。

キャロル レズビアン文学の古典小説「キャロル」の映画化。クラシカルな映像が美しい作品。ストーリーはとてもシンプルで、物語の新しさよりも、素直なラブストーリーを細やかな映像、心理描写でじっくり見せるという感じ。男女のラブストーリーがそうであってきたように、奇をてらうのではなく、王道であることに意味があるのです。きっと。

リリーのすべて 画家アイナーは、妻の絵のモデルでドレスを合わせたことをきっかけに、自分の中の女性に目覚めていく。妻ゲルダは、夫の傾向を支えながらも、次第に女性として自立していこうとする彼に心を痛めーー実話をもとにした物語。夫を懸命に支える妻に感情移入してしまう。「ヴェルサイユの宮廷庭師」で庭園建築家を演じたマティアス・スーナールツがアイナーの初恋の人役で出てくるけど、どこかで見た顔だと思わせる人だなあと思ってたら、プーチン大統領だ。自由に憧れるようにマフラーが空に舞うラストシーン、切ない余韻の強く残る作品でした。

ルーム ママとふたりで暮らす狭い部屋で、眼が覚めたジャックは家具たちに言う。「ボク、5歳になったんだよ」その日、ママはジャックに打ち明ける。「この部屋の外には本当の世界があるの」外の世界に出るために、二人は計画を練る。幼いジャックの眼を通して見る、外に広がる”世界”、光や雪、音。ママの抱えた傷、周囲の好奇に満ちたまなざし。いつも守られていた泣き虫の息子が、いつの間にか母親の手を引いていて、母親にとっての息子という絆がまばゆい作品でした。

マネーショート リーマン・ショックを引き起こした米国のサブプライムローン、その不動産バブル崩壊の兆しに気づいた投資家は「サブプライムローンが破綻する」ことに賭けようとするが…。飛び交う金融用語に説明も入るけれど、テンポよく展開していくため、「考えるな、感じろ」に近いところはある。映画的に面白いかというと言い切り難いけど、情報千本ノックみたいなテイストが好きな人は絶対好き。

ハドソン川の奇跡 ニューヨーク発シアトル行きの旅客機がハドソン川に不時着した事故を受けて、事故調査委員会は機長の判断に問題がなかったかを追求する。乗組員・乗客全員が無事帰還したことから奇跡ともてはやされた航空機事故だったが、運営機関の一員として求められるのは奇跡ではなく、適正な判断なのだ。繰り返される不時着までのシーンにさまざまなイメージが付与され、ストーリーが一通りの帰結を見せたあとも物語の枠を超えて考えさせられる。ストーリーづくりのきれいな作品。

ブリッジ・オブ・スパイ ソ連スパイのアベルの弁護を引き受けたドノヴァンは、証拠不十分も有罪が濃厚な彼について「米国人がソ連の捕虜になったときの有効な交換手段になる」と判事を説得し、死刑から懲役刑への減刑に成功する。その数年後、ドノヴァンが説得の材料として話した「米国人捕虜との交換」の話が飛び込んできて、その交渉役まで依頼されてしまう。サスペンスの上手いスピルバーグ監督、とくに東ドイツに潜入してからの交渉術は、息つく間もなく目が離せませんでした。

オデッセイ(字幕版)

オデッセイ(字幕版)

  • マット・デイモン
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オデッセイ 脱出時の事故で火星に取り残された宇宙飛行士ワトニー。植物学を専攻していた彼は、残された設備と知識、持ち前のタフさで火星での生活を試みる。次の有人探査機が火星に訪れる四年後まで彼は生き残ることができるのか。シン・ゴジラにも共通するシュミレーション型ムービーで、人間ドラマは淡白ですが、原作者アンディ・ウィアーは国立研究所のプログラマーだそうで、作中に出てくるアイデアも痛快。ロマンつまった宇宙ではなく、対峙する現実としての宇宙という描かれ方が印象に残りました。

不屈の男 アンブロークン 元オリンピック陸上選手のルイス・ザンペリーニの伝記を原作とする作品。いじめられっ子だったルイスは走ることに才能を開花させ、弱い自分を乗り越えた。しかし第二次大戦時に救出作戦の途中、太平洋に不時着してしまい、日本軍の捕虜となる。厳しい仕打ちにも耐え抜くことで彼らに打ち克とうとする。日本兵の渡辺伍長との対立をめぐって、言葉なき羨望、嫉妬や赦しといった感情が繊細に描かれて、監督アンジェリーナ・ジョリーの女性らしい感性が出ている、と思う。とても面白かったけれど、上映規模が小さかったのが残念。

デットプール アメコミ・ヒーローものではいちばん見やすかったです。アクションも良かった。ヒロイン役の モリーナ・バッカリンはドラマ「ホームランド」の奥さん役の人ですね。顔立ちといい雰囲気といいかなり好き。ヒーローのデットプールはいろいろあってひどい容姿になった設定だったけど、もとはけっこうリア充だったので、思っていたより共感ができませんでした。

シビルウォー キャプテン・アメリカ 超人能力をもつアベンジャーズ国際連合の管理下に置こうとする「ソコヴィア協定」が提唱されて、多くの人々はそれを支持、しかしメンバーたちの思いはそれぞれに複雑だった。さらに協定署名式でテロ事件が起きてしまい……かつて味方どうしの対立など、なにが善で悪なのかが分からない感じ、法を超えた自警団を政府の管理下におこうとする欲求など、同時期上映された「カルテルランド」とも共通するテーマ。スーパーヒーロー大活躍ものと思いきや、なかなか一筋縄ではない。アメコミは深いなあと思いました。

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 普段はエリート会社員のスーパーマンは、金の力で武装して強引にものごとを解決するバットマンの存在をよろしくなく思っている。スーパーマンは超人であるがゆえに、平凡な人々とともに生きることに謙虚なのだ。しかしバットマンもまた、超人能力を持つスーパーマンを危険視していた。そんな二人を対消滅させようとレックス・コープ社の若社長はある計画を巡らせる。二大ヒーローが冒頭から何か葛藤を抱え込んでいる様子は謎仕様で、終盤、ワンダーウーマン颯爽と登場なのも一般人大混乱だし、世間の評価もいまいちですが、けっこう好きなのは、正反対のキャラクターが対立してて、「本当は仲良くなりたいんでしょ」と眺める心境になるからだと思います。

X-ミッション 元エクストリーム・スポーツのアスリートであるユタは、友人を失った経験から引退し、FBI捜査官への転身を志望する。あるアスリート集団の犯罪事件に「オノ・オザキの提唱した自己啓発プログラムを実行しているだけ」と鋭い指摘をするユタに、指導官ポールは潜入捜査の許可を与えた。
美しくダイナミックな風景に、エクストリーム・スポーツのスリリングなアクション。犯罪者のリーダー、ボーディーへの共感と、任務遂行の使命のはざまで葛藤するユタ。物語の芯に力強く流れるナチュラリスト思考が作品に複雑な深みを与えている。見たときの勢いで感想を書いたら当ブログの中でもよく読まれる記事になってしまって、すごく恥ずかしい。映画は好きだけど、感想を書くのは苦手なのだ。

完全なるチェックメイト 米国の伝説的天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの伝記的作品。1970年、冷戦のさなかチェス界に復帰したボビー・フィッシャーは、当時世界選手権のタイトルを独占し続けていたソ連のボリス・スパスキーとの対戦までのぼりつめる。それはチェス盤上の米ソ対決として注目された一戦ーー両プレイヤーともに音や角度に過敏になって周囲をポカンとさせたり、双方にクレイジーさが垣間見えて面白かった。ただ、見終えたあとで言うのも何だけど、天才ボビー・フィッシャーはミステリアスな存在であった方がよかったな。

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ これはドキュメンタリー映画だけど、感想書けてなかったので。アメリカをもっと強い国にするために、ヨーロッパ各国の良いところを盗みに出かけるマイケル・ムーア。夏季休暇も産休もしっかりとれるイタリア、給食が美味しいフランス、フィンランドゆとり教育スロベニアの大学無償化、麻薬中毒者を犯罪者ではなく治療対象者と考えるポルトガル、刑務所でもプライベートが守られるスウェーデン・・・同時に有給制度がないことや貧相な給食や高額な大学ローン、刑務所ビジネスと揶揄されるほどの麻薬検挙率、とアメリカの問題も浮き彫りになる。しかし取材していくうちに、どの「素晴らしい点」も、多くは米国からの輸出だったことが分かってきて。ラストはけっこう感動的で美しいまとめで締めて、余韻の良い作品でした。

見逃した映画もたくさんありました。「レヴェナント 蘇えりし者」「イット・フォローズ」あたりはまだ見に行けそう。上映時間長くてなかなか気の進まなかった「チリの闘い」も本当は気になっている。

でも年明けすぐに「沈黙」、めっちゃ怖いと話題の「ドント・ブリーズ」などなど、さらに2月からはアカデミー賞枠の作品が順次公開。東京で見れそうなのは「ラ・ラ・ランド」までかな。沖縄戦を描いた「ハクソー・リッジ」は、戦争映画ということで夏にやるらしい。映像がきれいと聞くとすぐ見たくなる「ムーンライト」は上映未定なので、たぶん早くて夏前くらい。

めちゃくちゃ怖い韓国映画のホラー映画「コクソン」は3月公開らしいけど、ゾンビ映画「釜山行き(新感染 ファイナル・エクスプレス)」は夏休み映画枠で上映はぼんやり「夏」とのこと。気になるものを全部見てたら大変。

ミニシアターや名画座でもいろいろやるよ!

タルコフスキーみたいな作品は自宅で見れないと思うので(家だとすぐながら見になっちゃう)、名画座で上映される機会で見るのがちょうどいいかなあ。

あと吉祥寺に新しく映画館ができるらしく気になってます。

外国語映画の作品が多い印象。ミニシアター行くとつねづね、こういうマイナー作品やってくれる映画館って良心的だよなあと思っていたので、そういう映画館が増えるのはいいな、と思う。ただ、小洒落感がつよくてネットでは不評ですが。

映画も体験娯楽と思えば、東南アジアや南米やイスラム圏やらのマイナー低予算作品上映するのに、お洒落の付加価値くらいはあってもいいかなと個人的には思います。とはいえ、価格も1500円と通常料金より安いんですよ。諸外国の映画作品が好きな私としては、東京にいるうちに一度は行きたいなと思っている映画館です。