日々帳

140字で足りないつぶやき忘備録。

博物館に初もうで @ 東京国立博物館

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冬に京都へ旅行に行きまして、長谷川等伯ゆかりの寺など見てきたので、これはこの余韻のまま東博で展示中の「松林図屏風」を見に行こうぞ。と、上野まで。このときの展覧会のメモには、トーハクで等伯(多分もう誰か言ってる)、と走り書きがありました。

じつは描きかけなんじゃないかとか、屏風の並びは左右逆なんじゃないかとか、いろいろ憶測もある「松林図屏風」ですが、絵の前に立ってみると、不完全ともされる構図の中に、かえって満ちてゆくものを感じて、ずいぶん長い間眺めることとなりました。

中央の余白から私たちの足元まで、流れ込んでくる霧の気配。うっすら遠く山の峰が、視線を奥へといざなう。絵画にボケを取り入れたダ・ヴィンチでしたが、レンブラントはピントのデフォルメをしました。等伯は、消えゆく背景を淡い墨で、手前の松を強い筆跡で描いています。主観的な光の像は、見る者の心を画面のなかに引き込みます。

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「松林図屏風」目当てでふらりと行った東博でしたが、展示数の豊富さにくらくらしてしまう。雪村周継「鷹山水図屏風」池大雅「楼閣山水図屛風」あたり、見応えありました。良し悪しは分からないけれど惹かれた一休和尚の筆や、申年ということで、森狙仙の猿たちなどなど。

アイヌ琉球の文化では、時期のためかアイヌしか展示品がなかったのが少々残念でしたが、ここもじっくり居れるコーナーでした。心なしか充実していたのが刀剣の展示。わざわざレンズを向けたのは、本阿弥家鑑定の刀だったからかな。(説明文撮っておいたiphoneのデータが消えてしまって確認ができないのです)

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近代に入ると、明治期の陶磁器を始め華やかな品々が鑑賞者を迎えます。これまで中国やときには朝鮮の影響を受けつつも、自国の中で切磋琢磨して育まれてきた美のありかたが、海外からの視線を受けて、輪郭をもっていくように感じられました。

縄文式土器から近代美術まで、時代を追うように美術品を見ていくのも、ちょっとした時間旅行のようで、楽しい博物館初詣でした。