日々帳

140字で足りないつぶやき忘備録。

第18回文化庁メディア芸術祭@国立新美術館

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毎年恒例の文化庁メディア芸術祭。お仕事の合間に小一時間くらいさくっと見に行ってきました。
ゆっくりは見れなかったけれど、メモ程度に。

今年に限らないのだけど、あるものをデータ化して別の形に変換して出力する系?の傾向が増えたなあと思いました。私がそういうのが好きで、そういうのばかり気にかけてしまうからかもしれませんが。

入ってすぐに来場者を迎えるのは、電磁波をビジュアルエフェクトで可視化するインスタレーション。古き良きラジオのつまみ式ダイヤルを回すと、周波数が変化して、スクリーンに映し出される映像が変化します。周囲にあふれている電磁波を音と光で体験する作品。

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個人的に好きだったのは、花の一年の周期を音楽で表現したパフォーマンス作品。
クラリネットを演奏して、その一部をリアルタイムで録音、コンピューターで処理した音を重ねる。循環して成長していく音楽。音色も心地よくて、白い部屋にしばらくたたずんでしまったのでした。

前に、電車からの風景を映像で取り込んで、音楽に変換するという作品があって、とても印象に残っています。既存の世界の繰り返しを取り込んで、ランダムなパターンに変換し出力することで、自己構成化された新しい世界が現れる。生命の起源を見るよう。というと少し大げさだけど。

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のらもじ発見プロジェクトもよかったです。昭和の香り漂う手書き文字の看板。ひっそりと掲げられた町の看板文字を収集してフォント化するという、フォントと町歩きを同時に愛でるプロジェクトです。たぶん。

エンタメ部門の大賞はIngress。その設定を具現化?説明読んでも、プレーヤーじゃないのでよく分からずでしたが、展示を見ている人はやけに楽しそうだった。オブジェ動くわけでもないのに。光ってはいたけど。床にメッセージが書けるみたいでした。

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3Dプリンタを利用して制作された筋電義手。筋肉の電気信号で操作するのだそうです。(価格的にも)気軽に(その日の気分で)楽しめる義手。実用化に向けて開発を進めているということでした。公益と技術のユニークな掛け合わせの作品。

映像作品はゆっくり見れずでした。気になるのはたくさんあったけれど。

ソ連軍の進駐した樺太島を舞台に、子供たちや家族を描く「ジョバンニの島」。銀河鉄道の夜を絡ませて幻想的な絵作り。”大人の複雑な事情にとらわれず両国の子供たちが””ごく自然に一緒に遊んでいた”との解説に惹かれましたが、後半は引き裂かれる家族に視点が映るもよう。

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ロシアでも上映されて評価を得たようで、戦後のわだかまりの解消に、こういう文化的で相互理解をうながす方法は理想的なのかなと思いました。まだ相手がちゃんと見えてる感じがして。

アニメではロシアの作品「The Wound」だけ見ましたが、とてもよかった。コンプレックスを抱えた少女が、心の内につくりあげた友人。毛むくじゃらの生き物ウーンドは、少女の孤独の分おおきくなっていく。

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私も子供のころ心の中にウーンドみたいなのがいました。たぶんね、心の中にひみつの友達を持っていたという人って、案外いると思うのです。その生き物がどんどん賢くなっていくというか、批評的になってくるので、子供ながらにまずいなと思って、ある時、この生き物とお別れをすることにしました。

たぶん小学生くらいだったと思うけれど。いつもなんとなくそこにいた生き物が、自分のつくりあげたものにすぎないと思うようになったきっかけってなんだろうなと、今振り返ると思ったりします。

ともかく、このアニメ作家さんも、ウーンドが大きくなっていく怖さを感じていたんだろうなと思いました。彩度を抑えた画面が孤独感を演出しつつも美しい作品です。

展示の最後はマンガ部門。出口に近いところに、沙村先生のエリアがありました。
気づかなかった。受賞していたんだ。生原稿見てきました。うおお。

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私も同じミリペンもってる。
原稿にアフタヌーンって描いてある!手描きっぽい字でなんか書いてる!!
カラー絵キャンパス地に描いてるのかな。
鉛筆でここまで描けるのか。やっぱり画材じゃないんだなあ。わかってたけど。

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途端に小学生並みのことしか考えられなくなって、展示周辺をしばらくうろうろしてから帰りました。

全部はみれなかったけど、今年もたくさんの作品が展示されて、平日なのに来場者たくさん。
しかしながら気になったのロシアものが多かったなあと思ったメディア文化祭でした。