日々帳

140字で足りないつぶやき忘備録。

9月の風景 台風の夜

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子どもの頃のこと。夜中に目がさめると両親が庭に出て植木鉢を避難したりしていて、どうしたの?と聞くと、今から吹き返しがくるから家に入っていなさいと言う。台風の目の中にいるのだった。見上げた空には星がまたたいて静かな夜だった。

さいきんは発生地が北上していることもあって、大きな台風はしばらく来ていなかった。最後の記憶は2003年9月の台風14号。最大瞬間風速74.1m/sを記録し、なぎ倒された電信柱が道路沿いにずうっと横たわる光景は当時のローカル紙の一面をかざった。

今回は小さな台風だったものが、気象庁の情報が更新されるたび数値があがっていった。朝起きると停電していて、夜まで風は止まず、ろうそくの灯で夕暮れを迎えた。庭先に静けさが戻って来たのは翌日の午後のこと。最大瞬間風速は60m/s、スピードが遅く影響が大きかった。

ヤギたちはせまい小屋で身をひそめていたのだろう。夜中お腹をすかせていたはずなので、さいわい台風前に刈り取っていた草をあげると、なわばり争いも忘れて一心不乱に食べていた。ヤギの家族たちも身をよせあった台風の一日だった。