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日々帳

140字で足りないつぶやき忘備録。

サロン・デュ・ショコラの日曜日

日記

久しぶりに会う人が「サロン・デュ・ショコラ行ってみません?」と言うので、なんだか混んでるイメージしかないけど、混み混みだったら近くの美術館に行くっていうプランBもありかな、などと思いながら承諾したところ、集合時刻は朝9時だという。普段の出勤時間より早いな…。

かくして朝の9時に国際フォーラムに着くと、すでにホール前には長い列。しかも開場は10時らしい。ええっ、一時間前からこんなに混んでるの。待ち合わせた人が「前後の列で千人ずつくらいかな」と言っていて、思わずあたりを見渡す。一個連隊こんな感じだろうか。

開場時刻になって少しずつ列が流れ始めた。ホールに入ると、目当てのブランドに並ぶのにまた長い列。イートイン・スペースでちょろちょろ味見して、さらっと一巡りしようという話をしていたので、まずはテイクアウトものに並ぶ。

手始めは和楽紅屋の《クールマカダミアショコラ》。すごい美味しい。ビターチョコレートの内側は濃厚でなめらかなムース状のチョコレート。ひんやりしてるけどアイスクリームほど冷たくはなくて、口の中でいい感じにとけてくれる。そこにキャラメリゼ・ナッツの香ばしさも重なってくる。しかもけっこう大きくて、貧乏性の私でも、かぶりつくのにためらいはいらない。

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和楽紅屋《クールマカダミアショコラ》/ゴディバ《アイスクリーム トリュフ》

贅沢な一本に満足したところでお店などを見て回ることに。歩いていると店舗のスタッフさんたちは、高価であろうチョコレートの試食をおしみなく勧めてくれる。

「ミニマル-ビーントゥバーチョコレート」はカカオ豆の素材の味わいをそのまま活かしたチョコレートのブランド。カカオのざくざく感を残した舌触りも印象的だけど、酸味を感じたり、がつんとくるビターな味わいだったり、カカオにこんなに味の違いがあったとは。まさかの利きカカオ。甘さも控えめでお酒のつまみにもいけそう。

一時間もたつと、それまで待機していた人たちが入場して、いっそうの盛況ぶり。避難するようにゴディバのエリアへ逃げ込む。ここでもイートインできるのだ。3粒で601円に思わず「お手頃価格だね」などと言い合っていて、このあたりから金銭感覚がおかしくなりはじめている。

ベルギー王室御用達ブランドにそぐう端正な顔立ちのお兄さんが味の説明をしてくれて、他のスタッフも皆びっくりするくらいイケメン。ターゲット層完全に絞り込んできてる。

ここにバレンタイン・チョコを買いに来ている女の子は、たぶんそんなにいない。だって私チョコレートいちおう買ったら、賞味期限2/11だと言われて、それバレンタイン・デー来る前に切れてるやん。って話を会社の人にしたら「年末のかまぼこ商法ですね」なんて言われた。*1

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アンリ・ルルー《クイニーアマン・オ・ルイゾン・パッション》《クイニーアマン・オ・C.B.S.》

時間がたつにつれ、ジャン=ポール・エヴァンは長蛇の列、アンリ・ルルーは、ショコラティエご本人が来店してサインを書いてたりして、会場はますますの盛り上がり。自然と空いてる店舗に足が向くのですが、ラ・メゾン・ジュヴォーは店舗のお姉さんが「日本ではまだそんなに知名度がなくて…」と言いながら、試食を勧めてくれた。

ビターチョコの中にココナッツやピスタチオのペーストが入っていて、風味あるトップノートからビターチョコのほろ苦いラストノートへと味の変奏を楽しめる。メレンゲを焼いたお菓子ロカイユも気になったけれど、購入したのはアプリコットのフリュイコンフィ。

食べ方を聞くと、お店の人は「少量刻んで紅茶に合わせるとか」と言っていたけれど、ヨーグルトに合わせてもよさそう。クリームチーズにクラッカーとか。どうやって食べようか考えるだけでしあわせになれる。しかしチョコレートの祭典に来て果物の甘露漬けを買うとな。

はじめに来たときは空いてたこのお店も、二巡目のときは少し混んでいて、お客さんの女の子がパティシエの戻りを待っているところ。ようやく戻ってきたパティシエにフランス語で懸命に思いを伝えているのを見ると、なにか心を打たれるものがあった。

有名だから選ぶのではなくて、自分なりの体験や感性を大事にして出会っていくもの。その一場面にかぎらず、あちこちからショコラ好きの人たちの情熱を感じて圧倒されてしまった。

すっかり二時間ほど過ごしたあと混雑を抜けて、その人の乗る新幹線の発車時刻まで、三菱一号館美術館のカフェでお茶を頼んで一息つく。もとは銀行だった場所を再現したクラシカルな内装で、サロン・デュ・ショコラに行くような人なら好きに決まっているのだ。

チョコレートがけのドライトマトが甘しょっぱくて美味しい話や、スコーン、ジャム、紅茶…の味の掛け合わせサイクルは完璧という話など、食べ合わせの話ばかりに花が咲いたりして。
なんだかんだ朝早く行って正解だったな。想像以上に熱っぽい空間だったのも楽しかった。

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La maison JOUVAUD ラ・メゾン・ジュヴォー《フリュイコンフィ》フィグ/アプリコット

この頃いろんな人が送別のひとときをもよおしてくれるけれど、「もしかすると今生の別れ…」などと思うと身がもたないので、生きていればまた会えるよねみたいなスタンスでいる。遊びに行くよと言ってくれる人もいて、仮初めの言葉でもうれしい。

サロン・デュ・ショコラへ一緒に行った人が、島に帰る餞別に無花果のフリュイコンフィをプレゼントしてくれた。美味しい食べ方見つけたらお知らせしますねと言ったものの、荷物をひっくり返したままの部屋では気が進まないもので、帰郷するまではおあずけになりそう。
 

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果物をスパイスとお酒、砂糖で漬け込んだフリュイコンフィ、アーモンドと果物砂糖漬けを練って焼き上げたカリソンなど、プロヴァンス地方の伝統菓子が商品開発のベースになっているよう。スペインにも近い南フランスのこの地方はアラブ文化の影響も受けているそうで、洗練された味わいというよりは、甘さにクセがあったり、逆に甘みが少なかったりして、日本にすまう私たちからすると、いつも変化球を投げてくる投手みたいな感じ。

フランスの伝統菓子をまとめた菓子職人の方のサイトから。フリュイコンフィ、カリソンのレシピなど。アラブの交易文化や甘いもの好きの文化、この地方の果物に豊富だったことから、フリュイコンフィが重要なお菓子になってくるのだと分かる。古いカリソンのレシピにはユダヤ教の伝統的なパンを土台に使っているものもあるらしく、アラブにユダヤ教と、南仏のこの地方はいろいろな文化が混ざり合う拠点だったのだなあと思った。

砂糖以外の調味料を使わないとかで、カカオ豆のちがいで香りや味わいがさまざまなことにびっくりする。コーヒーのおともや、お酒のつまみに合いそうだし、贈り物にも良さそう。都内に店舗があるようなので、自分用とプレゼント用に買いに行きたいな。

*1:会社の後輩(女の子)にあげたはずのチョコレートが引き出しの中に入っているのを見てしまって「賞味期限過ぎてるよ!」って忠告したら、「えっ3/11って書いてますよ」って言われた。購入時の聞き間違えだったようです…。