新宿御苑に梅を見にでかけたら、桜がもう咲いていた。
河津桜という早咲きの桜のようで、一緒に行ったひとと、言葉もすくなく明るい花の色を眺めた。
春はちょっと苦手で、無彩色の空間に色彩は鮮やかに満ちて、それは、痛みというほどのものではないけれど。
少し前に、林檎を甘露煮にしようと思ってガラス瓶を買ったので、さっそく煮沸消毒して、粗熱がとれたころに、こともあろうに水洗いをしてしまった。ばきっと音がなって、ガラス瓶はきれいに割れて、そりゃそうだとため息をついた。
桜の花は寒い季節に力をためて、暖かくなると一気に開花するのだという。寒さと温かさがその色を生むのだという話。
色という叫び。その色が、喜びか悲しみかも分からないままに、桜はただいっしんに染めあがる。
人のこころは、花ほどつよくいれるだろうか。