日々帳

140字で足りないつぶやき忘備録。

年間520本(計算上)映画を見る人がオススメしてくれた映画3本

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もちろんDVDです。映画館は聞いてないけど、お金ない人だからもっぱらレンタルだと思う。

その人は知り合ったばかりの頃、映画を週10本見るとか言ってて、えっ修行か何かなのって思ったのですが、なんでも月曜日にツタヤ行って、5本/千円のプランで借りて、週末前に返却しつつプラス5本借りるってことを、毎週繰り返しているようでした。

それ以外の時はCSの映画チャンネルか、自分が持っているDVDを流しっぱなしにするそうで、映画好きというより依存症みたいになってますけど。

で、お約束のように「(そんなに映画みてるなら)オススメ教えてくださいよ」って言ったら、渋い顔されて「逆にどういうの見ますか?」って。子どものころ両親と見た古い映画くらいしか知識がないので、「うーん、最近見てないなあ」とお茶をにごして、うやむやになった。

それからしばらくして雑談もするようになった頃、ちょっとした話で盛り上がったときに、改めて聞いたんです。そしたら、すぐに思いついたみたいで「これしかないですね」って、オススメの一本を紹介してくれたのでした。

ミスト

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「これはね、脚本がいいんですよ。原作はスティーブン・キングですけど」
スティーブン・キングスタンド・バイ・ミー小説で持ってたから、何回も読みました」
「脚本はフランク・ダラボンで、彼はキング原作の『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』も撮ってますね」
「ショーシャンク、好きな人多いですよね。むかし見て、あんまり覚えてないけど」
「印象的な絵づくりは少ないかもしれないですね。ダラボンはミストのあとに『ウォーキング・デッド』(註釈:第1シーズン第1話)を撮って、大ヒットしてます」
「へえー、ゾンビのやつですよね」
「そう、文明が崩壊した世界で、どう生き抜くかってことをやってます。ミストも構図は近いですよ」
「そうなんですか? ホラーかと思いました」
「ちょっと違いますね。アメリカの郊外のでっかいスーパーマーケットあるじゃないですか。スーパーに居合わせた人たちが取り残されるんですよ。外でただならぬことが起こってるんですけど、それが何か分からない。その描写がうまいんですよね」

感想:見てる途中で、あいつ!よくもこんな映画を!って枕を10回くらい殴ってしまった。たしかに、突如たちこめる謎の霧の正体をつかもうとする前半や、閉鎖的な空間の心理描写(『ウォーキング・デッド』や『アンダー・ザ・ドーム』とおなじテーマ)などはすごい面白いんですけど、これ、(ネタバレになるから言えない)
 

ファニーゲーム

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「ミストおもしろかったです。ああいう舞台が限定的なストーリー好きです」
「ワンシチュエーション・ムービーってことですか。ソウとかいいですよ」
「ソウは苦手です。キューブは好きだけど」
「構成にトリックがある話だと、ファニーゲームもオススメですね」
ファニーゲーム?」
「サスペンスになるかな、うーん、もしかしたらちょっとキツイかもしれないけど」
「怖いやつですか(ホラーは苦手)」
「そういう感じじゃないですね。メタフィクションなんですよ」
メタフィクション?」
メタフィクションは、まあ見ればわかります。休暇で別荘にきた家族がトラブルに巻き込まれて、そこからどう逃れるかっていう話です」
「また外界から隔絶される感じですか」
「ホラーとかではよくある状況設定ですけどね。それより、観客も映画の中に取り込まれるところですかね。この映画は、ハリウッドの暴力の娯楽に対するアンチテーゼを描いてるんですよ」
「へえー面白そう」

感想:なんという悪意!さすがに次の日「ひどいですよ!」とクレームしたら「ごめん、本当に見ると思わなかった」って言われた。ただ、メタフィクションがなんなのかは理解しました。けど一回見ればもういいかな…。
 

スターシップ・トゥルーパーズ

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「お詫びに、ぼくの本当に好きな一本を教えます」
「えっ、今までのは」
「ミストの脚本がいいのは本当ですよ」
「そうですね。私もトレマーズとか好きだから、あれはあれでいいんですけど」
トレマーズはいいですね、ベスト映画上位には入ります」
「洗濯機のシーンとかいいですよね」
「いいですね」
「で、本当のオススメはなんですか」
スターシップ・トゥルーパーズです」
「聞いたことないです」
「原作は『宇宙の戦士』って小説です」
「あっ、ロバート・A・ハインライン
「知ってますか」
「月世界の住人が地球に反乱を起こす小説を読んだことあります。宇宙の戦士は、軍国主義って批判されてたみたいですけど」
「軍隊を描いてますからね、でも文脈はそうではないですよ」
「そうなんですね」
「昔、この映画の特集ばっかりしていて、潰れた雑誌がありました」
「特集しすぎたからですか」
「わかんない。ただ毎号、巻頭特集がスターシップ・トゥルーパーズだった」
「特定の人を惹きつける映画なんですね…」
「名シーン、名セリフが多いんですよ」
「たとえば」
「死んだ虫だけがいい虫だ!」

感想:アメリカ先住民と入植者たちの間で起こった戦いでの有名なセリフ「死んだインディアンだけがいいインディアンだ」をパロディーにしてますね。あっ、感想ですか。そうですねー。これ青春ものですよね。大学生くらいの。未来の宇宙生物と戦う軍隊が舞台ですが。この監督さんどことなく青春のきらめきみたいなのがあって、虫ばっかり出てくるのに、なんか不思議な映画でした。
 
それ女性にオススメする映画じゃないよ〜という作品ばかり紹介してくれた知人でしたが、他にもいろいろ教えてくれて、「ガタカ」「ミッション: 8ミニッツ」「オーロラの彼方へ」とか、よかったです。少し前に近況を聞いたら、映画みる時間ちょっと減ったって言ってた。

人の言葉をかりるばっかりになってしまいましたが、私じしんは「ピアノ・レッスン」という映画がすきです。もう全然あいいれないでしょ。触手とか虫とか出てくる映画と。でも自分の感性では出会えない映画を教えてくれる存在っていうのは、大切ですね。

ピアノ・レッスンのどこが好きかを書くと5000字くらいになるから、今回はやめておきますが、ストーリーの中にピアノが、ずっとシンボリックにある感じとかがとても良いです。