日々帳

140字で足りないつぶやき忘備録。

三井家伝世の至宝 @ 三井記念美術館

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三井記念美術館、年始の展示は円山応挙の雪松図屏風と決まっているらしく、一度は見ておかないとと正月明けの日本橋に行ってきました。

今では国宝たる雪松図ですが、当時の人はどうみたんだろう。応挙は輪郭線を使わず、墨の重ねで陰影をつけるように描いています。枝につもる白雪の、浮かび上がるような立体感。スフマートの技法が江戸時代のころにどれだけ浸透していたか。今までにない絵画感覚に驚かされた人も多かったのではないかと、つい考えてしまいます。

墨の掛けあわせの陰影に面の緊張感はやわらぎ、淡い金色の背景に大きな枝を広げる松、その平面展開する構図の力強さが引き立つようでありました。陰影法を取り入れながらも、やまと絵の美しさがより感じられる雪松図屏風でした。

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焼きものでは本阿弥光悦の黒楽茶碗「時雨」「雨雲」がお目見え。「雨雲」は、空からけぶるように降る細い雨を見るようで、切り詰めた要素の中に宇宙の宿るのは、ちょうど俳句の世界に似ている。ここに雨音も感じれば、雨の日のにぶい光さえも感じられるのです。

野々村仁清の優美な京焼、色絵鱗波文茶碗。志野茶碗の国宝「銘卯花墻」などなど。

面白かったのは「東福門院入内図屏風」、将軍の娘が天皇家へ輿入れする際の行列を描いたもので、行列の順番もそのまま、参加者の名前のようなものまで書き連ねられています。いわば婚姻契約書といったところでしょうか。有力者どうしの婚姻もなかなかに大仰なものであります。

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紙本著色東福門院入内図〈/四曲屏風〉 文化遺産オンライン