日々帳

140字で足りないつぶやき忘備録。

ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち @ パナソニック汐留ミュージアム

私がゴーギャンという画家に惹かれるのは、そのキャラクターゆえだろうと思うのです。

自意識が強く、豪胆な男。私の好きなホイッスラーも、横浜美術館の企画展では自我の強さを指摘されていたけれど、何と言ってもゴーギャンは尊大なうえに、生前その絵はほとんど売れませんでした。

ホイッスラーの冷笑的な自尊心。クールベの世界を変えようとした挑戦的な自尊心。ゴーギャンの自尊心は、もっと無邪気で、人への好奇心とともにあるように思えます。

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ポール・ゴーギャン 「二人のブルターニュ女性のいる風景」 1888年  ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館
ポール・セリュジエ「呪文或いは物語 聖なる森」1891年 カンぺール美術館

汐留ミュージアム「ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち」展のゴーギャンの作品、「2人のブルターニュ女性のいる風景」を見ると、二又に分かれた道と、その間の斜面、それらの面の方向に逆らう動きの動物たち、あるいは女性の視線など、緊張感のある構図にセザンヌの風景画が思い出されます。

画家を志す前からセザンヌの絵を称賛していたゴーギャン。けれどセザンヌには、自分のアイデアを盗もうとしていると警戒されてしまいます。ゴッホとはともにアルルの明るい色彩に挑戦し、芸術談義を戦わせ、ポン=タヴァンではエミール・ベルナールとの交流の中から、総合主義を作り上げました。

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ポール・ゴーギャンタヒチの風景」1893年頃 ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館

セザンヌの「小さな感覚」、画面の中の線と面、対象から響いてくる、その力学。ゴッホの輝く黄色、色彩の巧みな仕掛け。ベルナールの宗教性をはらむ図様化。人との交わりを厭わず飛び込んでいく中に、ゴーギャンは、これから拓いてゆく新しい絵画のヒントを見出してきたのでした。

芸術家として彼は、天才を理解しうる悲しきアマディウスであった。或いはそんな一面も彼のものであったかもしれない、などと思ったりした、ゴーギャン展でした。

ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展 | 汐留ミュージアム | Panasonic
2015年10月29日(木)~12月20日(日)
10:00〜18:00まで(入館は17:30まで)
入館料 一般:1,000円(一般)
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/15/151029/

印象派の影響からぬけだして、ポン=タヴァンを舞台にクロワゾニスム、総合主義、ナビ派へと展開して行くながれを追う展示です。ポン=タヴァンというケルトの風習が残る土地が、クロワゾニスムやナビ派を育んだのかな。その宗教性はゴーギャンタヒチでの作品に繋がって行くような気もしたけど、まだ思いつき程度の考察です。