日々帳

140字で足りないつぶやき忘備録。

映画の感想 - 駄作を見る:エンタメとドラマについて

コミック実写の駄作リストにその名を連ねつつある「進撃の巨人」を見てきました。
だって映画館行ったらジュラシック・ワールド一時間後だっていうからさ。で、見ましたところ、あんがいに面白かった。

よく脚本がダメっていうけど、脚本はむしろ丁寧にねられてるんじゃないかな。壁の外に出たいエレンと、安全だから壁の中にいろという大人たち。誰かエレンとミカサはアダムとイヴを模している*1といってたけど、二人が楽園の向こうへ飛び出していこうとする時の葛藤が、たぶん全体通して描かれる。

無垢だった人間が知恵の実を齧って、業を背負い、庇護を受けない荒野へ突き放されるのは、そのまま人の成長譚でもあるわけです。この作品でも、エレンの成長という個の物語と、壁の向こうへ飛び出したからこそ今の私たちがあるという人類の神話的な物語が、二重重ねになっている。

脚本に難があるとすれば、原作との差かなと思う。改めて思うと、性差異の薄い、ある種、同一の性どうしの連帯感が、原作の大きな特徴だったのだなあと。

ミカサは女の子だけど少年っぽいし、他も女性としての役割どころを担うキャラクターってあんまりいない。つまり性の異物感がない。けれど、映画の方には、男の子の成長としての女性という異物が描かれるので、そこは原作やアニメになじんでいると、抵抗あるかも。

あとね、劇中ミカサがピアノを弾くんですけど、その曲がカントリーミュージックの「The End of the World」で、これがいい曲なんですよ。ようは、恋人が離れていって私の世界は終わってしまった。なのに太陽は輝いて鼓動がうち続けるのは、いったいなぜ?っていう歌詞。

The End of the World

The End of the World

  • スキーター・デイヴィス
  • カントリー
  • ¥150

後編の副題にもつながっているみたいだけど、ここでは単純に、ミカサの心境「あなたと離れて、私の世界は死んでしまった」を表現しているのかなと思う。でもここでカントリーミュージックって。もうこれ未来でした伏線しかないじゃん!後編たのしみですね。

おすすめかって聞かれたら、軍艦島好きならおすすめだよって言う。

そもそも私の評価はあんまりあてにならないと自分で思っていて、なんでかっていうと、実写映画化の駄作としてこれまた名高いカムイ外伝が、めちゃくちゃ好きだからです。

あれずっと面白いと思ってたのに、映画くわしいひとが「ああ、大ゴケしたことで有名なカムイ外伝ね」っていうので、悲しくなってしまった。今回それを思い出して、レビュー記事を読んだりしてたけど、褒めてるひとも少しいたけど、ほとんどがCGがクソとか、話がだるいって評価ばかりで。

エンタメ映画を期待してたら重い人間ドラマでしたっていうのが良くなかったのかな。映画館でやってるやつをとりあえず適当に見たのが、期待値ゼロで自分的にはかえってよかったのかも。

カムイ外伝のテーマは「汚れた血」ということなんだと思うけれど、その自分の血から逃れようにも、どこまで遠ざかろうとも拭いきれない。その絶望感や、それでも絶えることのない自由への衝動が、印象強く描かれていて、もうほんとに素晴らしいなと。

エンタメとドラマの文脈って違う気がするので、実写化するときは、いっそエンタメの文脈よせて作るのが正解なのかもしれないけれど、そう考えると、ダークナイトみたいな成功例があることは、すごいことだよなあと思うのでした。

*タイトルが、この世の果てまでって映画を見た感想みたいになってたので、下書きの時のタイトルに直しました

*1:聖書譚に合わせて考えると、シキシマは蛇なんだなあ。