水上バスで浅草から日の出桟橋へ。
梅雨はなかなか明けないけれど、じっとり蒸す暑さには、確かな夏の気配。
お台場を眺めながら次の船を待って、島と本土とそれをつなぐ橋という境界線のことを考えた。
本土は日常、島は非日常。日々の外側には畏怖がある。あるいはハレがある。
などと思いをはせているうちに乗り込んだ船は出航して、潮のまじった風を切ってぐんぐん進んだ。
船がレインボーブリッジをくぐると、デッキに上がっていた乗客に、ふわっとした歓声がおこる。
入り江に近づくと、目の前にはフジ本社ビル。振り返ると都心は邪悪な雲に襲われていた。
さっきいたこっち側が、向こう側になってしまったと思った。