日々帳

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[感想]京都―洛中洛外図と障壁画の美 | 東京国立博物館

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JR代々木駅に降りた時に、洛中洛外図展の大きな広告が目に飛び込んできて、これは見に行こう!と思ったのでした。

洛中洛外図

洛中洛外図は、室町時代から江戸時代にかけて多くの絵師たちによって描かれ、7点が国宝・重要文化財の指定を受けている。
その7点全てを展示する展覧会。(前後期で入れ替えあり。)俯瞰から京の町を眺め下ろすように描かれ、当時の町の様子や人々の衣装が描かれ、風俗画としてとても貴重なんだという。

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上下ともに『洛中洛外図』<舟木本>岩佐又兵衛筆 東京国立博物館蔵 ポストカード

「舟木本」に描かれるのは、華やかで活気あふれる都の姿。右隻は桜の豊国神社、花見帰りの人でごった返す五条大橋。左隻に移ると、夏の風物詩祇園際の行列、さらには二条城の武家町界隈の活気でにぎわう。

「舟木本」は、東に豊臣秀吉の豊国神社、西に徳川家の二条城を描いて、洛中に影さすふたつの王権の存在と、その緊迫感を描いているのだそう。
時に全体を眺めながら、古の都の雰囲気を感じるのもひとつなのだけど、細かく描き込んだ都の人々の日常のやりとりのひとつひとつに見入ってしまう。
 

障壁画の美

洛中洛外図屏風に続いて、京都御所龍安寺、二条城の空間装飾へ。

特に見応えがあった二条城二の丸御殿は、狩野一門が描いた壮麗な障壁画。

黒書院二の間は将軍の執務室として使われ、1867年の大政奉還の時には、徳川慶喜が近臣に決意を述べた場所でもあるという。
まさしくその時に将軍と近臣たちを囲んだ襖障子の絵が、150年ほどを経た現在の私たちを取り囲んでいると思うと、不思議なような、畏れおおいような気持ちになる。

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二条城 二の丸御殿 黒書院 二の間「桜花雉子図」
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二条城 二の丸御殿 黒書院 二の間「桜花図」

狩野探幽の弟、尚信の手がけたもの。
早春の雪のうっすらつもる風景から、花びらが小川に散る晩春まで、襖絵の中でゆるやかに時が流れる。

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二条城 二の丸御殿 大広間 四の間「松鷹図」

大広間四の間は、狩野探幽の作。
時の権力者の威厳を示す絵が、どのようなものであったかを、肌身もって感じられる貴重な体験。

これまで江戸在野の絵師や、近代日本画あたりの美術展を見に行くことが多くて、狩野派の絵をちゃんと見るのは、これが初めてだなあと思った。
狩野派の作品に初めてふれる機会としては、とてもよかったんじゃないかと思う。
 

まとめ

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『洛中洛外図』<舟木本>岩佐又兵衛筆 東京国立博物館蔵 ポストカード

今回私にはめずらしく同行してくれた人がいたので、(絵の中の)この二人はなにを話してるでしょうか!ええっとねうーん、みたいな会話があって楽しかったです。いつもは爺婆にまみれてひとり鑑賞しているというのに!

横山大観展の記事で書き疲れてしまったので、今回は緩い感じで。

プライス・コレクションの時も感じたのだけれど、日本画(広義)ってひとりで見ても、わいわい見ても楽しめるんだなあと改めて思いました。