日々帳

140字で足りないつぶやき忘備録。

新しい絵画の地平をさがして :: 世界の名画〜美の迷宮への旅 ドガ「スター、舞台の踊り子」

きょうは世界の名画という番組をみてた。

エコール・デ・ボザール(官立美術学校)に入り古典絵画を学んだエドガー・ドガは、信奉したドミニク・アングルの「線を何度も描きなさい」という言葉通り、デッサンを怠らず古典的な手法を尊重した。

だが、神話をモチーフにした絵画から離れ、市井の人々を美化することなく描こうとし、次第に伝統的画壇に反発する立場をとっていく。
ドガ印象派の父と呼ばれるマネと知り合う。マネは「草上の昼食」という作品で、当時女神や天使などでしか描かれなかった裸婦を、普通の女性で描いたことにより反発を受けていた。
彼に同調しアカデミズムに反発する画家たちと共に、ドガもまた印象画展に参加することになることから、古典的技法ながらも、彼の絵が「印象派」と呼ばれる由縁となるのである。
「浴盤」は、体を洗う女性の姿を背後から描いた作品。鍵穴から見ているように、見られていることに気づかない、女性の自然な姿を描こうとしたが、覗き見ではないかと、強い批判を浴びた。
印象派展は第八回を最後に締めくくられた。それ以降ドガは展覧会に絵を出展していない。
目の病に冒され、家にこもりがちになったドガは、パステルの絵を多く描くようになった。パステルの鮮やかな色が、視力の弱った彼にそれを選ばせていたのではないか。
また、絵画のための習作として彫刻を制作した。ルノワールは彼の彫刻を高く評価したが、ドガは習作と考えていたため、何度も作っては壊した。視力が衰えてもなお、なんとか芸術に触れ続ける方法をさがしていたのだ。
かつて「踊り子を描くのはそのしなやかな動きを描くための手段だからだ」と言ったドガだったが、「舞台の踊り子」は、踊り子とパトロンの関係をも描き出している。
彼の絵には、19世紀のパリの華やかさと翳りもまた描かれている。

というお話でした。

面白かったのは、王立アカデミーが絵画の権威を持っていて、サロンへ出展して、そこで評価を得られることが画家として必要なことだったところ。
アカデミーの審査員は古典主義に美学を持っていて、保守的になりがち。
ドガはそこに反発したけれど、ルノワールセザンヌはサロンへも作品を出展している。
批判され嘲笑を受けながらも印象派展を続けた彼らのおのれの感性への確信や模索は、どの画家のエピソードを聞いても面白く気が惹かれる。

9月中旬までやっていたマウリッツハイス美術館展にも行ってきたのだけど、とても良かった。

フランドル絵画には印象派と同じ流れを感じた。
もともとは神のために始まった絵画が、やがて王のものになり、そのうち貴族、そして市井の人々のものとなる。
オランダでいち早くその転換が起きたのは、オランダがプロテスタントだったから。
偶像礼拝に否定的だったプロテスタントでは、神話をモチーフにした絵画が禁止されたのです。
小さな町で独特な絵画が育っていったことを肌で感じられて、行って良かった美術展でした。今度ちゃんと感想書く。

明日のBBC地球伝説はゴッホだそうで、なんでもシャーロックの役者さんがゴッホを演じるとかで話題になっていた。

見ようと思っているけど、録画できたら良かったなあ。録画機が来る二週間後が待ち遠しい..。